📘 本日のタイトル
「想いは香りに宿る」──和歌山から届く、ていねいな自家焙煎コーヒー【tres coffee × cafe ivory guest stories #01】
こんにちは。
COFFEE & HACCP|やさしい衛生管理のおはなしへようこそ。
このブログでは、カフェや飲食店で働く皆さんに向けて、
“安心”と“想い”をテーマにした物語や、現場で役立つヒントをお届けしています。
今日は、そんな安心づくりの物語のなかでも、特別なお客様をお迎えしたエピソードをご紹介します。
小さな焙煎所から、まっすぐな想いを。
今回ご紹介するのは、和歌山県で自家焙煎をされている【トレスコーヒー】さん。
ご自宅を拠点に、焙煎から発送まで一人でていねいに取り組まれている方です。

そのお名前を知ったきっかけは、Instagramでした。
「フォロワー300人企画で、感謝の想いを物語にのせて届けたい」
そう思って投稿したチャレンジ企画。最初は反応がなく、少し落ち込んでいた私に、
最初に声をかけてくれたのが、トレスコーヒーさんでした。
「実は前から気になっていて…」
「僕でよければ協力させてください」
最初に声をかけてくださったその言葉に、どれだけ救われたか分かりません。
今回のguest storiesは、そんなご縁から生まれた、特別な一杯の物語です。
手にとった瞬間に伝わる“やさしさ”
まず驚いたのは、届いたコーヒーのパッケージ。


やわらかい色味、丁寧な梱包、猫のイラストが描かれたドリップバッグ──
可愛さのなかに、開ける人の気持ちを大切にする“やさしい想い”が詰まっていました。
「開けやすさやコストも考えながら、
手にとった人に“前より良くなった”と感じてもらえたら嬉しいです」
この“伝える努力”が、トレスコーヒーさんの魅力のひとつです。
焙煎する時間は、まるで豆と向き合う静かな対話のよう。

焙煎はすべて、注文が入ってから。
一釜ずつ丁寧に、焦らず、じっくりと──
コーヒーに向けるまっすぐな気持ちが、そのまま味になっているような、
そんな“やさしい焙煎”が、トレスコーヒーさんのコーヒーには宿っています。
「きっと、どこかでホッとしてくれる人がいる」
そう願いながら焙煎していると語ってくれました。
「トレス」という名前に込められた意味
スペイン語で「3」を意味する“tres”。
最初は憧れのサッカーチームから名付けたものの、
気づけば、人生の節目には“3”が重なっていたそうです。
今は、“三方よし”の願いも込めて──
「生産者・販売者・お客様」の三者が幸せになれるように、と。
そんな優しさがにじみ出る名前の由来も、心に残りました。
「夢の途中」で会えたこと
将来は、自分のお店を持つのが夢。
けれど、家族のこと、生活のこと。
迷いながらも、今できる形で、ていねいにコーヒーを届ける。
私自身も「夢の途中」にいて、
不安のなかでも誰かに寄り添いたいと願っている一人です。
だからこそ、今回の出会いは、特別なものになりました。

📖本日の物語
では、ここからは──
「カフェ・アイボリー」で紡がれた、
やさしい一杯の物語をお届けします。
📖 ごゆっくりお楽しみください。
第1章 始まりの朝
──朝のアイボリー。
店内にやわらかな日差しが差し込むなか、扉がカランと鳴った。
「おはようございまーすっ!」
いつもの声と少し違って、かんなちゃんの足取りは弾んでいる。
両手には、紙袋を大事そうに抱えていた。
「わぁ、なんだかうれしそうだね」
コーヒーさんが声をかけると、かんなちゃんはにっこり笑った。
「届いたんです、ついに! “トレスコーヒー”さんの豆。
Instagramでずっと気になってて、思いきって注文してみたんです」
「あ、私も気になってたとこだ〜」と、なーみんも身を乗り出す。
紙袋からそっと取り出されたのは、やさしい色味のパッケージと、きれいに包まれたドリップバッグ。
「……あっ、ちょ、ちょっと待って……」
なーみんの声が一段高くなった。
「このイラスト、猫じゃない!? しかも…この、まんまるな顔っ…!」
なーみんはドリップバッグを両手で抱えるように持ち、ついに悶絶した。
「無理……かわいすぎる……これはずるい……」
そのままテーブルに突っ伏して、うれしそうに笑っている。
「なーみん、戻っておいで〜」
コーヒーさんが笑いながらつっこむと、かんなちゃんもくすっと笑った。
「パッケージもすごく丁寧で、なんか“開ける人の気持ち”をすごく大事にしてるなって…
この猫さんも、その一部だと思うんです。なんか、じわっと、うれしくなる感じで」
開封した瞬間、ふわりとした甘い香りが、空間をやさしく満たした。
「……これは、香りからもう伝わるね」
コーヒーさんが、目を細めてつぶやく。
「焙煎も注文後にしてくれるらしいよね?」
「そうなんです。届いた時に、“この人ほんとに豆に心こめてるな…”って思いました」
「どんな人がやってるんだろうね」
なーみんがつぶやいた、その瞬間──
カラン、と軽やかな音を立てて、もうひとつの扉が開いた。
第2章 トレスコーヒーさんとの出会い
「こんにちは、トレスコーヒーです!」
ふわっとやさしい笑顔を浮かべながら、扉の向こうから現れたのは──
まさに、いま話していたそのご本人だった。
「えっ、ご本人!?」「うそ、タイミング完璧すぎる〜!」
かんなちゃんとコーヒーさんが、ほぼ同時に声をあげた。
「イベントが近くであって…せっかくだし、ちょっとだけ寄らせていただければって」
トレスさんは少し照れくさそうに頭を下げる。
「ようこそ、アイボリーへ!」
コーヒーさんが笑顔で迎えると、なーみんも嬉しそうに手を振った。
「実は今ちょうど、コーヒーいただこうとしてたんです」
お湯を沸かしながら、自然と会話が始まった。
「トレスさんは…どちらで焙煎されてるんですか?」
なーみんの問いに、トレスさんが答える。
「和歌山で活動しています。といっても、店舗はまだ持ってなくて、自宅を拠点にしてる小さな焙煎所です」
「和歌山! いいところですね。自然も多くて、じっくり焙煎するのにぴったりな場所ですね」
かんなちゃんがにっこりする。
「もともとは趣味で淹れてたんです。ある日飲んだコーヒーがすごく美味しくて、そこからどんどんのめり込んで。
気づいたら本を読んで、道具を集めて、焙煎機まで買って…」
「それ、あるあるだ〜」とコーヒーさんが笑う。
第3章 夢に向かって
「ところで、“トレス”って素敵な名前ですよね。何か意味があるんですか?」
かんなちゃんが興味津々に尋ねた。
「……あ、それ、よく聞かれます」
トレスさんは、少し照れたように笑った。
「最初は、スペイン語で“3”って意味なんです。
昔、サッカーのバレンシアっていうチームが好きで──
なんとなく親しみのある響きだったんですけど…」
「へえ〜、そこから?」
かんなちゃんが嬉しそうに身を乗り出す。
「はい。3月生まれだったり、30代で大きな転機があったり、子どもも3人で……
いつの間にか、自分にとって“3”って、節目になる数字になってて」
「わぁ、なんか運命感じますね…!」
「でも、コーヒーを学んでいくうちに──
“生産者さん”“お店”“お客さん”、それぞれにとって良いことができるような、
“3方よし”の関係をつくれるお店にしたいって、気持ちが変わってきたんです」
「その3なんですね」
なーみんが、カウンターのドリップバッグに視線を落としながらつぶやいた。
「実際は、まだまだうまく繋がれてない部分も多くて……
でも、がんばってる誰かの力になれるようなことを、コーヒーで少しずつでもしていけたらって思ってます」
トレスさんの声は、どこまでもまっすぐだった。
やわらかい香りの向こうに、やさしい想いが静かに重なっていた。
いつか、自分のお店を持つのが夢なんです」
トレスさんの声は、すこし静かになった。
「でも、家族のこともあるし…本当にこれでいいのか、迷うこともたくさんあります。
それでも、自分なりにコーヒーを届ける方法を探していきたいって思ってて」
「最近、県の起業セミナーにも参加してきたんです。
まだまだわからないことだらけで…でも、ちょっと整理できたかなって」
「その気持ち、わかります」
コーヒーさんが、ゆっくりうなずいた。
「わたしも、誰かの“これでいいのかな”に、そっと寄り添いたいって思っていて…。
そうやって迷いながらもていねいに向き合ってる人を、そっと応援できたらいいなぁって」
第4章 焙煎へのこだわり
「焙煎は、ご注文をいただいてからしてるんです。
大きな焙煎機じゃないんですけど、そのぶん一回一回、気持ちを込めて向き合えてる気がして」
「香りがぜんぜん違うもんね。届いたとき、ほんとにびっくりしました」
かんなちゃんがパッケージをそっと撫でながら言う。
「パッケージも、実は最近見直しているところなんです。
デザイン、開けやすさ、使い勝手、コストも考えないと。
手に取ったお客様が、なんか前より良くなったよね!
って、ほんのちょっとでも思ってもらえるように変更したいなと思っています。」
「わかります、それ」
なーみんの声がすっと重なった。
「手に取る人の気持ちを、ちゃんと想像してるんだなって。
コーヒーから、それが伝わってきたんですよ」
──そのとき、ふわりと香りに誘われて、奥からペリーさんが顔を出した。
「この香り……なんだか、とてもやさしいネ」
湯気をたどるように、カウンターへゆっくりと近づいてくる。
「こんにちは、ペリーです。カフェ・アイボリーでコーヒーいれてます☕️」
トレスさんに差し出された手は、やわらかくて、まっすぐだった。
「はじめまして。トレスコーヒーといいます」
「SNS、見てましたヨ」
ペリーさんは目を細めて、やさしく笑った。
「焙煎も、梱包も、ぜんぶ“だれかのこと”を想ってる。
そういうの、ちゃんと香りに出るネ」
トレスさんが一瞬だけ驚いたような表情を見せ、それから、すこし照れくさそうに笑った。
「うち、まだまだ小さくて…。ほんとうに伝わってるか、いつも不安で」
「伝わってますよ。ちゃんと、届いてるヨ」
ペリーさんは、湯気の向こうでやわらかく頷いた。
「お店がある・ないは関係ないネ。
“ていねいに届けたい”って思ってる人の豆は、それだけで、あったかい」
「わたしたち、違う場所でやってるけど──
やさしいことをしたいって気持ちは、きっと同じネ」
その言葉に、トレスさんの表情が、ふっとほどけた。
アイボリーの空間に、またひとつ、やさしい時間が重なった。
第5章 トレスコーヒーさんのコーヒー
そんなふうに、トレスさんの想いや歩んできた道を聞かせてもらったあとは──
いよいよ、みんなでコーヒーをいただく時間です☕️
──湯気の立ちのぼるドリップバッグを、そっとサーバーにのせて、静かにお湯を注いでいく。
店内に、さっきよりもいっそう深い、あたたかな香りが広がっていった。
「……うわ、やっぱり香りがやさしいね」
なーみんが、湯気をすくうように鼻を近づけてうっとりしている。
「まろやかだけど、芯がある感じがする……」
コーヒーさんがそうつぶやくと、かんなちゃんがうなずいた。
「この前飲んだとき、すごくホッとしたんです。
朝とか、仕事の合間に飲みたくなる感じっていうか…」
「それ、すごく嬉しいです」
トレスさんがちょっと照れたように笑う。
「“やさしいけど印象に残る”みたいな味が好きで、
ブレンドも、単に飲みやすいだけじゃなくて、ちゃんと個性が出るようにって試行錯誤してます」
かんなちゃんが、手元に置いていたパッケージをそっと持ち上げた。
「このドリップバッグ、ほんとにかわいくて…猫好きにはたまりません」
「うん、反則レベルにかわいいネ」
なーみんがすかさず反応する。
「パッケージは、自分で作れないのでイラストレーターさんにお願いしていて…
それも含めて“受け取る楽しさ”につながればいいなと思ってます」
「豆でも買えるし、ドリップバッグセットや水出しコーヒーもあるんですよね?」
コーヒーさんが確認するように尋ねると、トレスさんがうなずいた。
「はい。ネットショップで販売してます。
豆は注文後に焙煎して、できるだけ新鮮なうちにお届けしています。
ドリップバッグは、手軽だけど本格的な味わいになるように調整してて…
忙しい朝でも、気軽に楽しんでもらえたら嬉しいなって」
第6章 ☘️ アイボリーからのエール
──カップからふわっと立ちのぼる湯気。
みんなでそっと口をつけて、静かに味わう──のかと思いきや。
「……これ、やっぱり好きかも!」
「えっ、何杯目それ?」
「いやいや、まだ1杯目!でもおかわりのこと考えちゃうくらい!」
そんなやりとりで笑いが広がる、アイボリーの午後。
「このやさしさ、朝にも飲みたいし、寝る前にも飲みたいし…」
「つまり、いつでも飲みたいってことネ」
「そういうことです!!」
わいわいと賑やかなテーブルの真ん中で、
トレスさんが少し照れくさそうに笑っていた。
「なんか、すごく嬉しいです。
こうして飲んでもらって、反応が目の前で見られるって、やっぱり特別ですね」
「またぜひ持ってきてくださいよ! 今度は水出しも飲みたいです」
「うちのお客さんにも紹介したいネ。おすすめしたくなる味だヨ」
「ねぇ、あの猫の新バージョンとか出たら絶対教えてください!」
そんな言葉に囲まれて、トレスさんの表情がふわっとゆるむ。
「ほんとに、来てよかったです」
「こちらこそ。来てくれてありがとうございます」
コーヒーさんが、やわらかな笑みを浮かべながらカップを掲げた。
「夢の途中って、不安なこともあるけれど──
こうしてコーヒーを通して想いがつながる瞬間があると、
“ああ、大丈夫だ”って、思えるんです」
トレスさんが、小さくうなずいた。
「また来ます」
「また来てください」
「次も、楽しみに待ってますからね!」
笑顔が重なり、カップがそっと音を立てた。
やさしいコーヒーと、まっすぐな想いが出会った日。
その香りは、アイボリーの空間を、静かに、でもたしかに包んでいた。
──夢の途中で出会ったこと。
それは、ひとつの“始まり”だったのかもしれません。
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- ブレンドやシングルオリジン豆
- 可愛い猫のドリップバッグ
- 夏にぴったりの水出しコーヒー
どれも、ていねいな焙煎と“やさしい気持ち”が込められた商品です。
☘️ 読後のひととき 〜コーヒーでつながる、やさしい物語〜
物語、いかがでしたでしょうか?
トレスコーヒーさんの想い、そしてカフェ・アイボリーの世界観を、
少しでも感じていただけていたら、とてもうれしいです☘️
感想など、コメントでお寄せいただけると励みになります。
読んでくださったあなたの言葉が、次の物語をつくる力になります。
このブログでは、今後も“guest stories”として、
想いを込めてものづくりをされている方を、物語を通してご紹介していきます。
「私も登場してみたいかも…」
「うちのお店のストーリーも聞いてほしい…」
そんな方がいらっしゃれば、ぜひお気軽にご連絡くださいね☕️
また、この物語の舞台「カフェ・アイボリー」では、
noteでさまざまなエピソードを綴っています。
気になるキャラクターがいた方は、ぜひそちらものぞいてみてください。
ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました☘️
今日の物語、
あなたの心に、やさしい余韻を残せていたらうれしいです☘️
「またこの場所に来たいな」
そんなふうに思ってもらえるよう、これからも物語を紡いでいきます。
カフェ・アイボリーにて、またお会いしましょう☕️

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