食品を「作る側」から始まった私の話
私は、もともと食品を作る側の人間でした。
最初から衛生管理やHACCPの知識を持って現場に入ったわけではありません。
正直に言えば、「衛生とは何か」をきちんと説明できる状態でもなかったと思います。
ただ一つ、
食品を扱うということがどういう責任を伴うのか。
それだけは、言葉ではなく、感覚として持っていました。
現場で芽生えた、言葉にならない違和感
当時の製造現場では、今ほど衛生管理が当たり前に整っていたわけではありません。
それが「悪かった」と言いたいわけではありません。
時代背景もあり、「そういうものだった」という側面も確かにあります。
それでも、
作業を続ける中で少しずつ違和感が芽生えてきました。
このやり方で、本当に大丈夫なのだろうか。もし何か起きたら、守れるだろうか。
そんな、小さな引っかかりでした。
丸投げされた衛生担当というスタート
会社がSQF、ISO9001、ISO22000といった外部認証を導入することを決めました。
現場の人間として、正直なところ、少し興味はありました。
その結果、私は衛生担当に任命されます。
――正確に言うと、ほぼ丸投げでした。
誰もやらない。できない。わからない。必要性も感じていない。
「とりあえずやってみて」
そんな状態です。
品質管理部門も立ち上がったばかり。文書作成や記録管理も、意味を理解しないまま、形だけをなぞる運用が続いていました。
「わかったつもり」だった頃の自分
外部審査、内部監査、外部コンサルの先生。
多くの指導を受ける中で、理解は深まっているつもりでした。
でも今振り返ると、それは「つもり」でしかなかったと思います。
基本を飛ばしたまま、表面だけをなぞる。上部だけの知識。形だけの管理。
ISOやHACCPが「難しい」「めんどくさい」と感じられる理由を、自分自身が体現していました。
現場を知る品質管理という立場
製造の立場でISOを経験してきたことが評価され、私は品質管理部門へ移ります。
ここで初めて、「品管目線」というものを意識し始めました。
自社ISO文書の熟読。システム全体の理解。それでも理解は、まだ点の集まりでした。現場に毛が生えた程度。
決して「わかっている」と言える状態ではありません。
ただ一つ、現場のことがわかる。
その一点で、少しずつ信頼されるようになっていきました。
品質管理と製造を行き来して見えたこと
品質管理として現場改善を軸に経験を積み、その後、再び製造部門へ。
今度は、品管の知識を持った状態で。
工程管理。清掃手順の構築。検証と実務。机上の理論と現実のギャップに、何度もぶつかりました。
検査・表示・クレーム対応まで一気通貫で
改めて品質管理・品質保証部門へ戻り、私は検査・表示・クレーム対応までを一気通貫で担当するようになりました。
具体的には、
- 微生物検査
- 理化学検査
- 官能検査
- 食品表示
- 外部向け規格書の作成
- クレーム対応・報告書作成
です。
製造と品質管理、両方の立場を経験していたからこそ、どちらからも見えない課題が少しずつ見えるようになってきました。
「勉強し直す」ことから逃げなかった
正直に言えば、この段階で私はまだ十分な知識を持っていたとは言えません。
だからこそ、もう一度、基礎から学び直すことを選びました。
- 食品表示検定
- QC検定
- 第一種衛生管理者
いずれも独学です。
単に資格を取るためではなく、
「現場で起きていることを言葉と数字で説明できるようになる」
そのための勉強でした。
あわせて、
- ロジカルシンキング
- QC七つ道具
- 各種ビジネスフレームワーク
を学び、考え方そのものを整理していきました。
数字で語れるようになった現場
それまでの私は、「なんとなく良くなった」「感覚的に問題なさそう」そんな判断をしていました。
でも、
現場の生データを分析できるようになってから、見える景色が変わります。
衛生管理状況を数値で見える化し、是正処置・予防処置を仕組みとして回すようにしました。
その結果、
クレーム件数は
👉 【年間 14件 → 2件】
まで減少しました。
検査と清掃を「減らしても、守る」
検査についても、ただ回数を増やすのではなく、蓄積されたデータをもとに見直しました。
- 微生物検査
- ATP検査
いずれも、現場の清掃改善とPDCAを繰り返すことで、
- 月間 2万円以上の検査コスト削減
- 検査合格率・衛生状態は維持
を実現しています。
清掃手順についても、工程と動線を見直し、
- 清掃にかかる負担を 約半分に削減
- 清掃効果は 従来どおり維持
という結果につながりました。
「やることを増やす」のではなく、意味のある対策だけを残す。それを意識してきました。
クレーム対応と、仕事の質を上げる工夫
クレーム対応については、これまで数えきれないほど報告書を作成してきました。
原因分析、是正処置、再発防止策。
その中で、AIを早い段階から取り入れ、
- 文書作成の効率化
- 記載内容の正確性向上
- 品質管理業務全体の負担軽減
にも取り組んでいます。
「忙しいから仕方ない」ではなく、どうすれば正確に、楽に、続けられるか。
そこも品質管理の一部だと考えています。
管理の厳しい現場で得た確信
非常に厳格な衛生管理が求められる製品を扱う加工工場で、衛生管理責任者としても携わってきました。
製造開始から事故の発生はなく、自社検査の合格率は製造全ロットを毎日検査していながら
ほぼ100%を維持しています。
工場の外へ広がっていった仕事
工場だけでなく、イートイン店舗、物販店舗、工房の定期管理。
外部業者、保健所、審査機関、コンサルタントとの連携。
製造から衛生管理、外部対応、顧客対応まで。
一気通貫で管理してきました。
しかも、これは過去の話ではありません。今も現役です。
それでも私は「わからない側」だった
私は、最初から理解できた人間ではありません。
むしろ、
「難しい」「わからない」「めんどくさい」そう感じていた
“わからない側”でした。
だから、
私はこう思っています。
「わからないって、言っていいと思うんです。」
そこからしか、本当の改善は始まらない。
今、このブログで伝えていること
だから私は、必要最低限で、無理がなく、続けられて、それでも「ちゃんとできている」
そんな状態を作るサポートをしています。
SNSでの発信。
マンガや書籍。
オンラインセミナー。
すべては、「ちゃんとやれていること」を伝えてあげたいから。
もっと自信を持って、美味しくて、安心・安全な商品を世に出してほしい。
そのための伴走者でありたい。
それが、
私がこのブログを書いている理由です。


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